2020年4月1日

3年勤めた会社を昨日で辞めた。

自分の店を持つためだ。長年の夢、とまで言ってしまうにはいかにもぼーっと生きてきたので気恥ずかしさが付きまとうけれど、長年の夢とくらい言えなければうまくいきっこない気もする。ともあれ長年ぼーっと考え続けた結果、自分のようなものにはそれがベストだと信じられた道への分岐点だ。授かりものとしか言いようのない幸運に恵まれた結果でもある。

 

物件が決まって、退職を決めたのが昨年末。上司に申し出たのは今年に入って、1月の末。コロナはいつから騒がれだしたのだったか、もう思い出せない。少なくともその頃わたしの周りで深刻視しているひとは全然いなかった。たった2ヶ月でこれだ。元職場は飲食業という括りの中では珍しく、この状況でも収益が途絶えない代わりに緊急事態でもそうそう休業できないところ。感染即重症化みたいな人たちが暮らす場所だから、対策はかなり徹底していた、のだと思う。最初37.5度以上とされていた出勤自粛のボーダーラインがしばらくして37度に引き下げられ、最終日のわたしは36.9度。勤労意欲に著しく欠ける自分が珍しく、出勤できてよかったとほっとした。怠け者でも最後の挨拶くらいはしたい。すごくサプライズのできない(とても好きなところだ)同期が、退職記念のプレゼントや寄せ書きの存在もがっつり教えてくれていたし。

 

今年中にどれほどの飲食店が潰れるかと騒がれる中で、新しい店。6月にプレオープンの予定だったけど、できるのか?そもそも、工事とか、進むのか?笑っちゃうくらい先のことはわからないし、こんなに先行き不透明な自分よりもっとずっとシリアスに困っているひとたちがめまいを覚えるほどいる。

まさに今日オープンの下北沢BONUS TRACK周りのツイートを、勝手な共感を持って眺めている。正直な、正直だからこそどっちつかずな話が目につく。この状況にまともに向き合えばどっちつかずにしかなれない。

 

退職翌日だからと自分を甘やかしてかなり無為にすごした。寿木けいの『閨と厨』を読む。『わたしのごちそう365-レシピとよぶほどのものでもない-』はあまたある料理本の中でも指折りに好きな一冊だが。女、を強く感じさせる文章に、少したじろぎながらも読んでいる。 石井好子のエッセイに触れる時のような感覚もあって、あこがれと少しのよそよそしさを持って知らない世界を覗き見るみたいな。

 

マスク2枚。何をどうやったらそこまで斜め上にスベり続けられるんだろう。

 

:にんじんのピーナッツ炒め

マッチ棒に切ったにんじんを太白ごま油で炒める。途中荒く砕いたピーナッツを絡めて、最後にエノキを加える。ナンプラー、みりん、ほんのちょっとの砂糖などで味。パクチーを乗せる。

 

:干し海老のスープ

干し海老をゆっくり戻す。戻し汁ごとあたためて、シャンタンと鶏ガラ、醤油で味。他の具はわかめと豆腐。春雨があったらもっとよかった。上がりにちょっぴりごま油。

 

 

閨と厨

閨と厨

  • 作者:寿木 けい
  • 発売日: 2020/02/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

わたしのごちそう365-レシピとよぶほどのものでもない-
 

 

 

 

巴里の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)